2階の教室からは 薄汚い空気の都会が見えた。

ある日、君と僕、同じ外を見つめ

「この都会の向うに、海があればいいのに」

僕はボソッと、呟いた。

「海かぁ、でも僕は泳がない…泳げないんだ。」

君は俯いてそういった。

「どうして?波が怖いの?」

君の顔は益々曇った。悪いことを訊いた気がした。

「水着が、薄着が嫌いなんだ…。」

そういうと君はまた外を眺めた。僕も視線を追った。

そしてそんな会話など忘れ、僕達は卒業した。

君の考えていたことなど、知る気もなく。

僕の考えていたことなど、云う気もなく。

離れ離れになって、君の存在も、どうにか忘れて、

僕は、キャリアウーマンのごとく働く、働く。

ある日、僕一人 ランチを摂りに街に出た。

「ねぇ、xxxちゃん!xxxちゃんでしょ?!」

僕の名を呼ぶ、聞き覚えの無い「女性」の声。

暖かな陽だまり、コーヒーの湯気が香った。

「懐かしいね。2年前にね、正式に女の子になったの。

学生時代は苦しかった。一番仲のいい貴女にもいえなくて。

ね、でもあたしたち、此れで本当に「仲のいい女の子同士」ね」

長い艶やかな髪がさらっと落ちた。

僕、いや、あたしは、君が好きだったあたしは、何も、何もいえなかった。


-----end-----