第四消  舞台:高校の教室

春休み中あんなに暇をもてあまし早く学校に行きたいなと思っても

いざ制服に身を包み校門を過ぎれば緊張して行きたくなくなってくるのが事実だ。

今日は入学式。

あたしは、そこそこに中学校も楽しんだし、

学校って好きだけど、やっぱりちょっと不安だった。

新しい教室のにおい、新しいクラスメイト…

私の席は窓際で、近くの女の子とそこそこにしゃべったりして、ちょっと安心した。

数日経って、あたしは大分クラスに馴染んだ。

お弁当も皆で集まって食べたし、休み時間は騒いだ。教室移動も友人と一緒に。

そんななかちょっと気になる女の子がいた。いつも一人で、いる。廊下側、一番端の席。

黒いセミロングの髪に、前髪を古風に直線でそろえている。

半透明の紫のフレームの太い眼鏡をかけて、普通よりは細身で、小柄。

そういえば、普通授業一日目での自己紹介では

好きな音楽について笑ってしゃべっていたのに、そのときとはなんだか別人みたいだ。

お弁当も一人で食べて、話しかけても簡潔に返すだけ。

誰かと一緒に居ても、どこかいつも孤独感を漂わせていた。

それは消したいけど消せない孤独感ではなく、自ら孤独を選んで生きているような感じだった。

授業中その子はよく寝ていた。学校のテストは悪いのに実力テストは3位だった。

普通とはまったく違う見方で世界を見ているような、眼をしていた。

夏休み明けからその子は学校を休みがちになり

ある頃から、「(その女の子の名前)って、リストカットしてるらしいよ。」

という噂が流れ始めた。

驚いた。

本当のことだと受け入れるかどうか迷った。

でもある日久々にきたその子廊下で長袖のブレザーを、暑かったからかちょっと捲り上げていて

そのときちょっとだけ、血の滲んだ包帯が見えた。

あたしの視線に気づいたのか、ブレザーを急いで下げていた。

だんだんと噂が真実になっていった。

怖いっていう人が増えた。あたしも怖かった。

そして、10月から本格的に彼女は不登校になり、いつの間にか、学校を辞めていた。


b | n