第五症
舞台:精神科閉鎖病棟

過呼吸と拒食症の症状が一気に現れ

あたしはこの病院に運ばれた。

殺風景な病室に一定の間隔で6つのベッドが並んでいた。

病室を出るとガラス張りのナースステーション、

談話室として椅子や雑誌やトランプがおいてある

中央の部屋があって、外からの出入り口にはすべて重たい鍵が

窓には、飛び降り防止なのか、頑丈な檻がすべて取り付けられていて、丸で

外の世界から私たちを遮断しているようだった。

ほとんどの患者は、もう年配で、いきなり壁に向かって怒鳴り散らすおばあさんや

突然大声で歌い始めるおばさん、若いけどいきなり躁(ハイ状態のこと)

になったり怒ったり泣いたり忙しいひともいた。

あたしは拒食症と過呼吸といえども、頭は「正常」なのでここの人たちが「異常」

に思えて仕方なかった。

そんななかに、ひとり、唯一、未成年の女の子がいた。

鬱症状と自殺衝動がひどく、入院してきたらしい。

幼い顔つきに、ところどころメッシュを入れた髪で、よく黒い服を着ていた。

時々暴れては、鎮静剤を打たれ気を失ったり、血が見たいと騒いだりした。

手首には無数の痛々しい傷跡が残っていた。

元気がいいときは純粋に笑う子だった。

あたしは年が近い彼女とよく喋った。

自分の彼氏の話をよくした。

「恋人とするときにどんな体位が一番いいか」を実践したら疲れて寝た。


ある日あたしは尋ねた。

「(その患者の子の名前)は、好きな人とかは居ないの?」

彼女は黙り込んで、そしてぽつり、と言葉を発し始めた。

「春に告白して、振られたの。」

遮断された外の世界では雪が降り始めて、その子はまた

死にたい、と泣き喚き、始めた。


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